てんかん診療支援センターについて

 


 

  • 概要

本てんかん診療支援センターは、てんかん患者に対する包括的かつ効率的な診療とその支援に関すること、てんかんに係る臨床研究の推進に関することを、目的として2018年11月1日に設置されました。

てんかん診療支援センター運営委員会名簿

てんかん診療支援センターのご紹介 (『京都大学医学部附属病院 診療のご案内 2019』に掲載されたものです)

 

  • センター長挨拶

このたび、てんかん診療支援センターが京大病院に開設されました。専門外来を中心とする活動ですが、関連科(てんかん運動異常、脳神経内科、小児科、脳神経外科、精神科)が緊密な連携で、まずは京大病院のてんかん診療の「見える化」(可視化、透明化)を図ります。

同時に、てんかん診療では、実に様々な局面での各種情報提供が肝要です。今までは受診された患者さんに必要に応じて手渡しでご説明していましたが、ホームページから直接ダウンロードして個人利用に限ってお役に立てていただけるようにしました。医療関係者向けの専門的な資料も同様に準備いたしました。

てんかんの「診療と支援」、「教育」、「研究」、「社会への情報発信」を目指しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

最後に、上記のダウンロード可能な資材のうち、コピーライトのある資料の使用に許諾いただきました関係者各位と関係組織各位に感謝申し上げます。

2018年12月

京都大学医学部附属病院

てんかん診療支援センター長

池田昭夫

  • 背景

てんかんは、脳卒中、認知症についで多い精神神経疾患であり、約100人に1人の有病率です。診療の特徴として、小児科、脳神経内科、精神科、脳神経外科と診療科横断的に疾患の診療が行われています。小児に多い疾患でしたが、超高齢社会を迎え、高齢発症のてんかん患者も増大し、患者の運転事故などで社会的にも注目が増してきています。的確な診断のもと、適切な抗てんかん薬による内科治療が可能で、約3割とされる薬剤抵抗性(難治)のてんかん患者では、てんかん焦点摘出術による根治療法や迷走神経刺激療法による緩和療法が確立されてきました.

一方、てんかんは慢性疾患であり、様々な医療・福祉制度や就労支援が必要な側面もあります。全国的には、2015年からのてんかん地域診療連携体制整備のモデル事業を発展させる形で、2018年度からは厚労省の補助金事業「てんかん地域診療連携体制整備事業」として、全国15都道府県で拠点機関が指定される見込みであり、全国的に包括的診療体制の整備の機運が増大しています。

 

  • 沿革

京都大学病院では、神経内科、脳神経外科、精神神経科、脳病態生理学講座の連携のもと、脳神経内科で1991年から長時間ビデオ脳波モニタリングが開始され、てんかんモニタリングユニットを用いて、てんかんの正確な診断、難治部分てんかん患者のてんかん外科の術前評価を行ってきました。小児科においても、外来診療に加えてポータブルビデオ脳波計を所有し、小児科病棟とNICUで年間多数例の長時間ビデオ脳波モニタリングを実施しています。

1998年からてんかん診療にかかわる診療科(脳神経内科、脳神経外科、小児科、精神科、放射線診断科、脳機能総合研究センター)で合同症例カンファレンスを毎月開催し、関西圏内の関連医師の皆様も参加されます。

内科・外科治療を融合した国内屈指の診療横断的な専門診療体制が京都大学では整備されています。てんかん外科手術は1992年から始まり、てんかん外科の焦点切除は250症例以上、迷走神経刺激装置埋め込み、覚醒下手術、術中3TMRIや定位的深部電極を導入した先進的治療を行っています。

しかしながら、診療科横断的な領域であるにもかかわらず、それに関する外来診療の体制作りは遅れています。新規患者紹介の受診診療科は各診療科に分散しています。外来通院における患者教育や医療・福祉制度の導入や支援にもばらつきがみられます。包括的な診療支援体制の構築には組織的な体制による十分なフォローアップ、病病連携、病診連携体制の確立が望まれまれています。

 

  • 目的

患者さんの福祉支援、包括的で継続した診療を可能とする診療ユニットとして「てんかん診療支援センター」が外来レベルで発足しました。

1)診療科・事務部の連携により疾患専門外来を設置します。(外来棟2階の2CD

2)既存の各診療科の専門外来の情報をわかりやすくご紹介します。

3)てんかん診療で必要な各種情報は、患者さん向けのパンフレットから、医療関係者向けの情報提供資料まで、大変幅広く多岐に渡ります。30種類近くのパンフレットを大項目で整理して、ホームページにアップロードしました。コピーライトがある資材は許諾を頂戴した資材ですので、どなたでも個人利用に限ってご使用いただけます。(コピーライトのある資料の使用に許諾いただきました関係者各位と関係組織各位に感謝申し上げます。)

本センターを設立して、患者の皆様、一般市民の皆様、他病院の医療関係者の皆様など、社会の皆様へ、てんかんの正しい理解、診療の支援にお役に立てることを目指します。同時に、てんかん診療に関しての京都大学病院の専門性の高さと国内屈指の診療環境をご理解いただけますようにお願い申し上げます。

4)てんかんの研究を推進します。現在のてんかん診療を改善していくには、現在解決できない内容を、様々な研究を進めて、明日の診療をよりよくしていく不断の努力が必要です。倫理委員会で承認された研究内容へのご協力を患者の皆様へお願いして、基礎研究、臨床研究を推進します。

 

みなさまのご協力をどうぞよろしくお願いします。