ご挨拶

ご挨拶

「てんかん・運動異常生理学講座」の3年目のご報告

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池田昭夫
京都大学大学院医学研究科
てんかん・運動異常生理学講座教授

2013年8月に「てんかん・運動異常生理学講座」発足からはや3年が経過しました。毎年夏に年次報告書を作成し、今回も3年終了時点での年次報告書を作成いたしました。そのご報告とご挨拶を申し上げます。
最初に本講座は、臨床神経学講座(髙橋良輔教授)が支援講座となり御支援をうけながら、大塚製薬株式会社、グラクソスミスクライン株式会社、日本光電工業株式会社、ユーシービージャパン株式会社の4社から御協力をいただいており、また運営委員として高橋良輔教授(臨床神経学)、宮本享教授(脳神経外科学)、村井俊也教授(精神医学)、平家俊男教授(発達小児科学)、冨樫かおり教授(放射線医学講座)より御指導頂いておりますことに、心から感謝を申し上げます。また、過去2回の年次報告書で皆様にご報告後、数多くの先生方から励ましと御指導を頂戴致しましたことに改めまして感謝申し上げます。
本講座は、1)臨床と教育=集学的立場から、「てんかん・運動異常」の病態解明と治療の推進、高度先進医療の推進、実践医療としての確立と普及を目指し、同時に将来の本分野の担い手となる専門医と臨床研究者の養成と教育機会を国内外に広く提供する、2)研究=臨床てんかん学の病態と治療と常に表裏一体関係である臨床神経生理学の研究と臨床応用の発展を、医学研究科の講座の立場から推進する、ことを目標としています。
3年目では、今までの活動をさらに継続してきました。今回の年次報告書には、産学連携の成果と現状もご報告させていただきました。
産学連携、寄附講座のあり方とその活動には、COIが適切に管理されるとともに実際の活動内容が公明でかつ透明性が確保されていることが重要です。京都大学の寄附講座は、設立時とその後の運営において、あらゆる局面で極めて厳密にチェックを受けながら運営されています。その結果、産学連携においても透明性と公平性を担保して支援企業との間で実りのある共同研究を進めることができました。京都大学の中での本講座のこのような実績と方向性が、今後も寄附講座のあり方を考えるうえで、参考となるモデルのひとつになることができれば大変幸いです。
上記の1)では、過去2年間以上に、「てんかん・運動異常」の分野では、例えば脳死判定など、本学附属病院の中で直接お役に立ち少しでも貢献できることを目標にしてまいりました。同時に、京都および近畿では、例えば医師と検査技師を対象とした脳波筋電図セミナー開催の事務局として直接的に、全国的には例えば脳波セミナーアドバンスコースの事務局を含め、さまざまな手段で間接的にも「てんかん・運動異常」の分野で貢献できるように努力してまいりました。多くの病診連携診療、その他の院内外の多くの教育セミナー開催、神経内科と合同の脳波てんかんフェロー(EEG/Epilepsy fellow)を積極的に常時受け入れてきました。また上記2)は後述のように、新しい「オシロロジー(oscillology)」分野の新学術領域研究の計画班メンバーとして国内外での共同研究も促進しています。
本年次報告では、診療、教育、研究の3点から過去3年目の1年間で行なってきたことを自らまとめることで、現状分析と自己評価を行ない、4年目以降の今後の本講座の使命をより果たすべく、努力して参りたいと思います。自己点検の結果不十分な点があると存じます。皆様方から御意見並びに叱咤激励を頂戴できましたら大変幸いです。最後に本年次報告書は、当講座メンバー、関連協力者の皆様の協力で作成できましたことに御礼を申し上げます。

2016年8月、盛夏

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ご挨拶

2015年度「てんかん・運動異常生理学講座」から

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池田昭夫
京都大学大学院医学研究科
てんかん・運動異常生理学講座教授

昨年8月に本講座発足からの1年が経過した終了時点での年次報告を作成してから早くも1年が過ぎ、2年終了時点での年次報告書を作成しました。そのご報告とご挨拶を申し上げます。
最初に、2013年8月に設立されました「てんかん・運動異常生理学講座」は、臨床神経学講座(髙橋良輔教授)が支援講座となり御支援をうけながら、大塚製薬株式会社、グラクソスミスクライン株式会社、日本光電工業株式会社、ユーシービージャパン株式会社の4社から御協力をいただいており、また運営委員として高橋良輔教授(臨床神経学)、宮本享教授(脳神経外科学)、村井俊也教授(精神医学)、平家俊男教授(発達小児科学)、福山秀直教授(脳機能総合研究センター)、富堅かおり教授(放射線医学講座)より御指導頂いておりますことに、心から感謝を申し上げます。また、2014年8月の年次報告書で皆様にご報告後、数多くの先生方から励ましと御指導を頂戴致しましたことに改めまして感謝申し上げます。
本講座は、1)臨床と教育:集学的立場から、「てんかん・運動異常」の病態解明と治療の推進、高度先進医療の推進、実践医療としての確立と普及を目指し、同時に将来の本分野の担い手となる専門医と臨床研究者の養成と教育機会を国内外に広く提供する、2)研究:臨床てんかん学の病態と治療と常に表裏一体関係である臨床神経生理学の研究と臨床応用の発展を、医学研究科の講座の立場から推進する、ことを目標としています。
発足2年目は、上記の1)では、1年目以上に、「てんかん・運動異常」の分野で、本学附属病院の中で直接お役に立ち、少しでも貢献できることを目標にしてまいりました。同時に、京都および近畿ではより直接的に、さらにより広い範囲ではさまざまな手段で間接的に、「てんかん・運動異常」の分野で貢献できるように努力してまいりました。その一環として多くの病診連携枠の御紹介、院内外の多くの教育セミナーの開催、神経内科と合同での脳波てんかんfellow を積極的に常時受け入れてきました。上記2)は後述のように、オシロロジー(oscillology)という新学術領域研究のメンバーとして努力する所存です。
また本年次報告では、診療、教育、研究の3点から2年目の1年間で行なってきたことを自らまとめることで、現状分析と自己評価を行ない、3年目以降の今後の本講座の使命をより果たすべく、努力して参りたいと思います。自己点検の結果不十分な点があると存じます。皆様方から御意見並びに叱咤激励を頂戴できましたら大変幸いです。最後に本年次報告書は、当講座メンバー、関連協力者の皆様の協力で作成できましたことに御礼を申し上げます。

2015年8月、盛夏

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ご挨拶

2014年度「てんかん・運動異常生理学講座」のご報告から

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池田昭夫
京都大学大学院医学研究科
てんかん・運動異常生理学講座教授

2013年8月1日付で、本学医学研究科の寄附講座「てんかん・運動異常生理学講座」教授を担当させて頂いてからほぼ1年が経過しました。1年目の当方の活動を年次報告書にまとめましたので、ご報告とご挨拶を申し上げます。
本講座の設立の経緯ですが、臨床神経学講座(髙橋良輔教授)が支援講座となり、大塚製薬株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、日本光電工業株式会社、ユーシービージャパン株式会社の4社から御協力をいただき、「てんかん・運動異常生理学講座」という名称で医学研究科で承認され発足しました。運営委員として髙橋良輔教授(臨床神経学)、福山秀直教授(脳機能総合研究センター)、宮本享教授(脳神経外科学)、村井俊哉教授(精神医学)、平家俊男教授(発達小児科学)より御指導頂いております。
本講座の発足にあたり、1)集学的立場から、てんかんおよび運動異常症の病態解明と治療の開発、高度先進医療の推進、実践医療としての確立と普及を目指し、同時に将来の本分野の担い手となる専門医と臨床研究者の養成と教育機会を国内外に広く提供する、2)臨床てんかん学と運動異常症の病態と治療と常に表裏一体関係である生理学の研究と臨床応用の発展を、大学病院の立場から推進することを目標といたしました。

先ず最初に、本講座が小規模ながらもこの1年間において本学医学研究科並びに本学附属病院の中で、上記に掲げる活動を継続できましたのは、学内の多くの講座及び病院診療科の先生方の御指導、御支援のお陰と心から感謝申し上げます。また本講座は他に類をみない新たな取り組みの講座でありますので、学外、国外の数多くの先生方からの御指導、叱咤激励、共同研究等の機会を同様に賜りましたことを感謝申し上げます。

また本年次報告では、診療、教育、研究の3点から過去1年間で行なってきたことを自らまとめることで、現状分析と自己評価を行ない、2年目以降の今後の本講座の使命をより果たすべく、努力して参りたいと思います。自己点検の結果不十分な点があると存じます。皆様方から御意見並びに叱咤激励を頂戴できましたら大変幸いです。

来年の年次報告の時には、更に少しでも発展できるように努力して参る所存です。最後に本年次報告書は、当講座メンバー、関連協力者の皆様の協力で作成できましたことに御礼を申し上げます。

2014年8月、盛夏

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てんかん・運動異常生理学講座の御紹介

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京都大学大学院医学研究科 寄附講座
てんかん・運動異常生理学講座
教授 池田昭夫

本講座では、以下を設置理由および目的として、京都大学医学研究科に寄附講座として、平成25年8月1日に設立されました。

  • 1)集学的立場から、てんかんおよび運動異常症の病態解明と治療の開発、高度先進医療の推進、実践医療としての確立と普及を目指す。同時に、将来の本分野の担い手となる専門医と臨床研究者の養成と教育機会を国内外に広く提供します。
  • 2)臨床てんかん学の病態と治療と常に表裏一体関係である生理学の研究と臨床応用の発展を、大学病院の立場から推進します。

我々のめざすところ

1)設立の背景

脳の電気活動の異常から起こるてんかん発作は非常に多い脳症状のひとつであり、10人に1人は生涯のうち少なくとも1回はてんかん発作をおこすという統計があります。てんかん発作を繰り返しておこすような状態が「てんかん」と呼ばれる慢性の脳疾患に相当する。てんかんの患者数は人口の0.6〜0.9%に相当し、中枢神経系の疾患のなかでは最も多いものの一つです。

わが国においては、小児てんかんは小児科、成人てんかんは精神科、神経内科、脳神経外科と複数の診療科にまたがり幅広く治療されています。本邦での統計では、てんかん患者の総数は120万人で、小児患者の12%、成人患者の25%が内科的に難治にあたり、両者を合わせててんかん患者全体では日本全体で約20万人が難治てんかんを有しているとされています。てんかんの年間発病率が約8万人であり、これから1年間に約1.3万人の難治のてんかん患者が推定される。元来てんかんは周産期あるいは小児での発症が多いと認識されていたが、特に最近は高齢化社会で、中高年で新たに発症するてんかんが問題であり、高齢化社会での認知症同様に、中高年でのてんかんは、今後早急な対策が喫緊の状態です。

現在京大病院では、紹介および逆紹介での推移を含めて、年間約4400名以上ののべ患者が外来にて加療中です(平成23年の患者数。うち神経内科は約3300名)。紹介患者は、難治例の手術適応の検査と治療、診断目的の紹介、最適な抗てんかん薬の選択についての紹介受診などの様々な目的に関して、近畿圏を始め幅広い地域からの紹介を受けています。

一般にてんかん患者の約7割は抗てんかん薬で十分に発作がコントロールされます、残りの1〜2割の患者は各種の抗てんかん薬を用いても、たとえば1ヵ月に数回以上の頻度で発作が起こるように、発作を十分に抑制することができず、これは難治の患者群に相当します。難治てんかん患者においては、てんかん発作に伴う事故(転倒、外傷、骨折等)や重積発作による生命への影響以外にも、長期にわたる発作により知的活動の低下、情動障害、精神症状等の出現等が知られています。特に小児では発達に対する著しい障害が指摘されています。これらにより難治のてんかん患者は生活のあらゆる面において大きな影響をうけ、たとえば就学・就業をはじめとする多くの社会生活が大きく疎外される結果となり、それは患者本人のみならずその家族にも同じく大きな影響がもたらされます。

てんかん発作を抑制するてんかん外科療法は、抗てんかん薬による治療が奏功しない場合の治療法として始められ、難治なてんかん発作の根治的な治療法として積極的に考えられるようになり、欧米では早くから注目されてきた。日本でも1990年代から徐々に社会的にも認識され始めました。難治のてんかん患者に対して京都大学附属病院で、てんかん外科手術を積極的に推進して、現在まで約200名の治療成績で良好な結果を得ています。その他の治療法でも、各種の新しい抗てんかん薬が開発され,日本でも過去3年間で4種類以上の新規抗てんかん薬が上市され、抗てんかん薬の選択の幅が広がってきました。上記のてんかん外科手術、深部脳刺激療法、さらに京大病院では倫理委員会の承認のもと脳波を対象としたバイオフィードバック療法を施行するなどの、さまざまな試みが期待されています。

2)めざすところ

神経科学に関連した最新の診断技術は目覚ましく発展してきており、臨床神経科学の分野で積極的に応用されています。京大病院においては、

  • 1)脳波および脳磁場計測装置による脳内電気磁場活動源の推定、
  • 2)各種核医学検査(ポジトロン断層撮影法、SPECTなど)による神経細胞の糖代謝異常の局在、局所脳血流の異常、神経細胞の各種受容体異常の検出、グリア細胞の機能画像化、
  • 3)超高磁場MRI撮像法による微細な脳構築の異常の検出と大脳白質ネットワークの画像化、
  • 4)経頭蓋的磁気刺激装置による大脳皮質の興奮と抑制系システムの解明

などの新しい臨床研究が、本学医学研究科の高次脳機能総合研究センターと関連講座との連携で積極的に進められています。これらはいずれも最先端の技術と機器であり、本院の常設の設備備品として稼働中であり、京大病院ではこれらの方法を実際に駆使して、てんかんの病態を非侵襲的に検索でき、てんかんの診断と治療に大きく貢献しています。本学では、上述したように広く関連診療科の連携と、各種の最新の検査機器と技術が利用できる状態であり、欧米の大学レベル施設に属するてんかんセンターに匹敵するものであり、地域ばかりでなく国内、国外のてんかん診療拠点とともに、臨床脳科学の研究推進の原動力になることが期待されます。

一方、国内の状況としては、大学病院で上記の各種診断技術を設置している施設はあるものの、それをてんかん診療と研究に積極的に応用,実用化できている施設はありませんでした。また全国の大学の神経内科領域で,てんかんおよび臨床神経生理学を専門とする講座はありません。国内でいわゆる「てんかんセンター」は、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター、国立療養所西新潟中央病院てんかんセンター、国立療養所宇多野病院関西てんかんセンターなど数カ所あります。そこではてんかん診療科および関連診療科の連携および上記の最新の診断技術方法が積極的に導入されつつありますが、内科系から外科系までてんかん診療科および関連診療科が幅広く連携はしておらず、また上記のような様々な診断技術が幅広く駆使できる状況でのてんかんセンターは国内では未だ設立されていませんでした。このように、医育機関,研究施設、診療施設を全て兼ね備えた大学病院でのてんかん・臨床神経生理学講座の設置は、海外に比較して遅れをとった国内の本分野の状況を画期的に取り戻し、さらに世界的に通用してリーダーシップを発揮する上で重要な貢献を果たすことをめざします。

最後に

日本のてんかん診療体制は、現在過渡期にあります。即ち、歴史的に精神科中心に加療されてきた成人のてんかんは、脳の器質的障害による疾患であるという観点から、精神科に加えて、神経内科、脳外科での加療も推進されつつありますが、各診療科間でのスムーズな連携は、国内では必ずしも円滑でなく(キャリーオーバー)、また小児科では小児神経で加療されたてんかん患者が成人となったあとの診療体制も十分に整備されていないのが現状です。本講座は、日本のてんかん診療体制の新しい時代の原動力になれるように努力します。また京都大学では、上述したように広く研究講座関連診療科の連携と、各種の最新の検査機器と技術が利用できる状態であり、地域ばかりでなく国内、国外のてんかん診療拠点とともに、臨床脳科学の研究推進の原動力になれるように努力します。

平成25年8月1日 池田昭夫

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