第3回 てんかんに関する府民公開講座を10月19日に開催いたしました。
当日の録画をこちらよりご覧いただけます。
*本年度より配信方法に変更があり、一部音声が聞き取りにくい点がございます。来年度以降は改善すべく対策をしておりますのでご了承いただけますようお願い申し上げます。
また、当日お答えできなかった質問について、ご登壇いただいた先生よりご回答をいただきました。どうぞご参照ください。
小児てんかん
- 発達性てんかんではないグループのてんかんでも、繰り返した場合、発達に影響することがありますか。
長時間におよぶ重積発作などを除き、繰り返す発作により発達等に影響が出ることは通常ありません。(千代延先生)
- 現在、1歳9ヶ月でてんかんと診断されていますが、夜中1〜2時頃に決まって泣き出し暴れてなかなか寝ません。体がぴくっとなって眠りにくそうな時もあります。これもてんかんの発作なのでしょうか?
ご質問の内容からはどちらとも言い切れません。心配されている状況の動画を撮影し、主治医にご相談されるのがよいと思います。(千代延先生)
成人てんかん
- 父親(高齢)がてんかんなのですが、1人で外出はできるだけ避ける方がいいですか?
発作の頻度、程度によります。意識減損発作が内服をしても起こる(例えば月1回ある)ということならできれば付き添いがあるほうがよいでしょう。もしおひとりで外出される場合は、どこに行くのか行先・道順をご家族が把握されているのが良いかと思います。(下竹先生)
- 目を閉じてもパチパチするような明るい感じの時がありますがこれは発作の予兆のようなものですか?睡眠時に発作が多く、眠る時に目がパチパチキラキラした感じで眠りそうにくいんです。
その症状に引き続いて意識減損やけいれん発作が起こるようなら発作の前兆である可能性があります。睡眠中の発作があるとしても、寝る直前の症状であれば、発作との時間差があるので厳密には前兆とは呼べませんが、なんらかの脳神経が過敏な状態を反映しているかもしれません。てんかん以外でも片頭痛の前兆や眼科的な症状としても同様のことは起こりうると考えます。(下竹先生)
- 独語、ニヤニヤは意識消失を伴わない発作でしょうか?
発作の際に独語をする、あるいは笑ったような表情をすることがあります。一般的には意識減損発作、意識消失を伴うものが多いと思われます。
発作時の独語については、おそらく意識減損していると思われますが、あとから聞いて本人さんが発語内容を覚えていればその時間はまだ意識があったということになります。(下竹先生)
- 今夏、息子(大学生)が熱中症(中等~重症)を起こし、てんかん疑いと診断され、その後、定期的に脳波検査を受けています。先日「脳波に明らかな異常はないが、左脳の脳波に少し棘波がある」とのことで、「てんかんグレーゾーン」と診断されました。棘波は、正常な人には一切見られず、てんかんの人にのみ現れるものでしょうか。わずかの棘波でも「てんかん」の可能性を否定できないのでしょうか。
「脳波に明らかな異常はないが、左脳の脳波に少し棘波がある」「てんかんグレーゾーン」というのは、明らかなてんかん性異常波ではないものの、てんかんに関連する可能性のある波が一部みられたという意味と推察いたします。
棘波(てんかん性放電)はてんかんの診断につながる脳波異常ですが、頻度は0.2-0.5%と割合は低いものの健康な方でもみられることがあります。
そのため棘波がある=てんかんとは限りません。重要なのは、実際にてんかん発作があったかどうか、その脳波異常と症状とが関連しているか、どうかです。
熱中症でも一時的に意識障害やけいれんなどてんかん発作に近い症状を起こすことがありますが、てんかん発作はいわゆる誘因がない状態でも繰り返す発作と定義されます。
今後も慎重に経過をみながら、主治医の先生と相談を続ける必要があると考えます。(小林先生)
- 薬の副作用のことで、長期服用に伴い、骨粗鬆症の事を言われていました。現在34年間服用続けていて、私は骨密度が低いのでそれも原因のひとつとして考えられますか?
一部の抗てんかん発作薬(特に第2世代までの薬剤)には、長期服用によって骨の代謝に影響し、骨密度を低下させることが知られています。34年間の服用歴があるとのことですので、薬の影響が一因となっている可能性はあります。
ただし、骨粗鬆症には加齢、運動不足、栄養状態、女性では女性ホルモン変化など、他の要因も関係します。
発作の状況に応じて、てんかんの治療薬の変更の可能性や、骨に対する治療薬(ビタミンD、カルシウム製剤)について、主治医の先生とご相談いただいても良いかと思います。
てんかん外科
- 知的障害があっても手術は可能ですか?
手術は可能です。知的障害の有無にかかわらず、発作が減ることで患者さんや家族の生活の質の向上が期待できます。ただし、患者さん本人の(特に精神的な)負担が大きくなることが予想される頭蓋内電極留置術や、切除術時に症状が出ないか確認するために術中に患者さんに覚醒してもらう覚醒下手術は、なるべく回避する方向で治療予定を検討することが多くなります。(菊池先生)
- 外科治療は何歳から可能ですか?
回答:小児ではてんかん発作が繰り返し起こることにより、発達が妨げられることが知られています。このため、発作の重症度が高かったり発作の頻度が多かったりして発達に多大な影響が懸念される場合には、生後数か月でもなるべく早期にてんかん外科手術を計画します。想定される出血量や体重の推移を見ながら麻酔科の先生とも相談することもあります。(菊池先生)











